サラ・シャンティ通信10月号
素領域理論とカタカムナ文字
『完訳カタカムナ』の前書き「カタカムナの楢崎皐月と素領域理論の湯川秀樹 ―推薦の言葉に代えて」
理論物理学者・保江邦夫
小笠原英晃氏曰く「天野成美先生はできるだけ世に出ないで長い間カタカムナ文献の研究を続けて来られ方で、最近のカタカムナの本が本質を捻じ曲げるものが多く危機感を覚えて立ち上がられた方です。そして80首に記されている宇宙の理が本当に現代物理学の基礎理論と矛盾しないものなのかを、専門の物理学者に調べていただきたいと願っておいでなのです。まずは楢崎皐月博士が口述で残した「上古代の学術文化の記録 古事記の解読法」と題する手書きの資料のコピーを渡された。
それを読んだ私は我が目を疑ってしまった、何故なら、その前書きに記されていたのは、カタカムナというものが上古代人の直感によって把握した自然法則のことに他ならず、カタカムナ文献に解説されている自然法則の基本にある構図が、若き日の僕が全身全霊を傾けて研究していた日本人初のノーベル賞を受賞された理論物理学者・湯川秀樹博士による素領域理論と完全に一致していたからだ。
少なくともその部分を判読するかぎり、楢崎皐月という人物は本当に戦後の混乱期に生きた物理学者であり、しかも湯川秀樹博士が1960年代になって初めて公表した空間と時間の超微細構造についての革新的な物理学基礎理論である素領域理論の骨子を、既に1940年代にこの前書きに記すことができたからには、ひょっとすると湯川先生が不遇の阪大無給助手を過ごされていた時に、楢崎皐月と親交があったために素領域理論の原形を論じ合う仲だったのかもしれないとさえ思えた。
そう、楢崎皐月の頭の中にあった上古代の自然法則カタカムナとは、現代物理学においてようやく斬新性と真の価値が見出されようとしてきた湯川秀樹の素領域理論が教える、空間と時間の超微細構造に則った宇宙根源の物理電離であり、一般にももてはやされてきた超紐理論などの絵空事とはまるで月とスッポンほどのレベルの差があったのだ。
ここまで判明したところで僕は小笠原さんに向かって今回の『完訳 カタカムナ』の監修を謹んでお引き受けすることを伝え、著者である天野成美女史が半生を惜しんでまとめ上げた大著の原稿を前に、縄文文化とつながっていた上古代人の文化的奥深さと素晴らしい直感力に圧倒され続けたのだ。
この後、湯川秀樹先生の素領域理論は未完のままになっていたので、僕が素領域理論を完成させるには、各素領域の相互関係を規定する新しい場の方程式が必要だったため、エネルギーが泡から泡に飛び移っていること(素粒子の運動)だけを条件にして、シュレーディンガー方程式を導くことができるかを数学的に証明することでした。
僕がスイスの隣国ドイツのアウトバーンを190キロの猛スピードで走っていた時に、突然静寂が訪れたかと思うと額の裏に方程式が浮かんだのです。それでこの式に数式表現を入れて計算を始めたら、エネルギーが泡から泡に飛び移っていることが数学的に記述でき、シュレーディンガー方程式が導けることが分かりました。それをアメリカの物理学会に提出し、欧米の数理物理学専門誌で発表され理論物理学の世界で「Yasue方程式」として認められました。こうして素領域理論が正しかったことが数学的に証明され、微細空間がどのようになっているかが分かったことで、僕として湯川先生とのお約束を果たせたわけです。
それでも「人間の本質とは何か?心とは何か?」という課題は残されたままでした。僕のお役目はここまでと思っていたら、なんと僕の京大の同級生で生涯で唯一の親友の中込照明氏が、「リーマン幾何学と一般相対性理論から素領域理論、更には心の世界まですべて包含した量子モナド理論」を打ち立てて論文を送ってくれました。それにより「人間とは何か?宇宙・世界とは何か?心とは何か?ψとは何か?」についてすべてが解明されたのです。 以上